試用期間中に辞めたい|2週間で辞められる理由と、即日で辞められる例外

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目次
  1. 辞めるまでの日数は、試用期間でも変わらない
  2. 「14日」は、会社が辞めさせるときの規定
  3. 試用期間について、条文はほとんど何も決めていない
  4. 労働基準法に「試用期間」は1か所しか出てこない
  5. 試用期間中も、労働基準法はそのまま適用される
  6. 本採用されないことは「解雇」にあたる
  7. 辞めると伝えるときの言い方
  8. 理由は「一身上の都合」で足りる
  9. 引き止められたときの考え方
  10. 伝えた日付を必ず残す
  11. 聞いていた条件と違うなら、即時で辞められる
  12. 当てはまる可能性がある違い
  13. 必要なのは「違いを示せる材料」
  14. 引っ越しを伴う入社だった場合
  15. 契約期間が決まっている働き方は、条文が別になる
  16. 派遣で働いている場合
  17. 公務員の場合
  18. 「研修費を返せ」と言われた場合
  19. 辞めると伝える前にやっておくこと
  20. 代行を使うかどうかの分かれ目
  21. 伝えるだけで足りる場合
  22. 話し合いや請求が必要になる場合
  23. 試用期間中の人が選ぶことになる依頼先

試用期間中でも、辞めるまでにかかる日数は本採用の人と同じです。申し入れが会社に届いてから2週間で契約は終わります。

「試用期間中は簡単に辞められない」「14日を過ぎると辞めにくくなる」といった話が出回っていますが、条文を見ると別の規定の話が混ざっています。

ここでは、どの条文がどちらの立場のものなのかを分けて確認します。

条文はこう分かれている

あなたが辞める 会社が辞めさせる(解雇) 民法627条 申し入れから2週間で終了 労基法20条・21条 30日前の解雇予告/試用14日以内は不要 試用期間中かどうかで変わらない 試用14日以内だけ扱いが変わる 「14日」は右側の話。辞める側の日数ではない ここを取り違えると「もう辞めづらい」と誤解する
混同されている2つの規定は、そもそも立場が違います。

辞めるまでの日数は、試用期間でも変わらない

辞める側の日数を定めているのは民法第627条で、条文は次のとおりです。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

——民法 第627条(e-Gov 法令検索)

この条文に、試用期間中かどうかという区別はありません。試用期間は「雇用契約が始まったあとの、一定の期間」であって、契約が始まっていないわけではないためです。

入社2日目でも、2か月目でも、申し入れから2週間で終わります。

「14日」は、会社が辞めさせるときの規定

試用期間の話でよく出てくる14日は、労働基準法第21条から来ています。

前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、……第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。

四 試の使用期間中の者

——労働基準法 第21条(e-Gov 法令検索)

「前条」は解雇の予告を定めた第20条です。つまりこれは、会社が解雇するときに30日前の予告が要るかどうかの規定です。

試用期間の最初の14日以内であれば、会社は予告なしに解雇できるとされている、という意味になります。

辞める側の日数を定めた条文ではありません。 ここを取り違えたまま「14日を過ぎたから辞めづらい」と考える必要はありません。

条文 誰の立場の話か 内容 試用期間で変わるか
民法627条 辞める側 申し入れから2週間で終了 変わらない
労基法20条 会社が辞めさせる側 30日前の解雇予告が必要
労基法21条 会社が辞めさせる側 試用14日以内は予告が不要とされる 変わる

試用期間について、条文はほとんど何も決めていない

不安の多くは「試用期間には特別なルールがある」という前提から来ています。実際にはその前提が違います。

労働基準法に「試用期間」は1か所しか出てこない

労働基準法の条文を通して数えると、「試の使用期間」という語が出てくるのは第21条の1か所だけです。

長さの上限も、延長できるかどうかも、労働基準法は定めていません。つまり試用期間の長さは、会社が就業規則や雇用契約で決めています。3か月の会社も6か月の会社もあるのはそのためです。

試用期間中も、労働基準法はそのまま適用される

「試用期間だから」を理由に、労働時間や賃金の扱いが変わるわけではありません。

年次有給休暇の付与要件も同じです。起算点は雇入れの日であって、試用期間が終わった日ではありません。

本採用されないことは「解雇」にあたる

試用期間の満了時に本採用しないと言われた場合、それは会社からの解雇です。自分から辞めるのとは扱いが変わります。

労働基準法第22条第2項は、解雇の予告がされた日から退職の日までの間に解雇の理由について証明書を請求した場合、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならないと定めています。理由を書面で受け取っておいてください。

離職票の離職理由の欄がどう書かれるかで、その後の手続きが変わります。自分から辞めた形にされていないか、署名する前に確認してください。

辞めると伝えるときの言い方

理由は「一身上の都合」で足りる

短期間で辞めることに説明を求められても、詳しく話す義務はありません。退職届も口頭も、「一身上の都合により」で足ります。

条件が違ったことを理由に即時で辞める場合だけは、その理由を明示する必要があります。第15条第2項を使うなら、何が違ったのかを伝えてください。

引き止められたときの考え方

「もう少し続けてみないか」「今辞めると次が決まらない」と言われることがあります。これは説得であって、手続きを止める効力はありません。

判断が揺れるなら、その場で返事をしないでください。日を改めて書面で伝えるほうが、話が長引きません。

伝えた日付を必ず残す

2週間の起算点は「申し入れが会社に届いた日」です。口頭だけで伝えると、いつ言ったかが後から曖昧になります。

在籍が短いほど、いつ言ったかを巡って認識がずれます。口頭で伝えたあとに、確認のメールを1通送っておいてください。

聞いていた条件と違うなら、即時で辞められる

求人票や労働条件通知書に書かれていた内容と、実際の条件が違う場合は別の条文が使えます。

前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

——労働基準法 第15条第2項(e-Gov 法令検索)

2週間を待つ必要がなく、即時と書かれています。

当てはまる可能性がある違い

  • 提示された基本給と、実際に支払われる基本給が違う
  • 固定残業代が含まれていることを事前に示されていなかった
  • 配属先や職種が、明示されていた内容と違う
  • 勤務地が説明と違い、通勤できない場所になっている
  • 雇用形態が説明と違う(正社員と聞いていたが契約社員だった等)

必要なのは「違いを示せる材料」

主張するには、何と何が違うのかを示せる必要があります。次を手元に残してください。

  1. 求人票の控え(スクリーンショットでも可。掲載日が分かる形で)
  2. 労働条件通知書または雇用契約書
  3. 内定通知や条件提示のメール
  4. 実際の給与明細(支給が始まっている場合)

引っ越しを伴う入社だった場合

同じ第15条の第3項では、就業のために住居を変更した人が契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、帰郷の旅費を会社が負担すると定めています。

地方への就職で引っ越した方は、あわせて確認してください。

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契約期間が決まっている働き方は、条文が別になる

ここまでは期間の定めのない契約の話です。契約社員・パートなどで契約期間が決まっている場合、民法第627条は使えません。

期間の定めがある契約については、第628条が次のように定めています。

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。

——民法 第628条(e-Gov 法令検索)

「やむを得ない事由」が要件になっている点が、第627条との違いです。

自分の契約がどちらなのかは、労働条件通知書の「契約期間」の欄に「期間の定めなし」と書かれているかどうかで分かります。試用期間があること自体は、契約期間の定めとは別の話です。

派遣で働いている場合

派遣で働いている場合、雇用契約を結んでいるのは派遣先ではなく派遣元です。試用期間の定めも派遣元との契約にあります。

労働者派遣法第2条第1号は、労働者派遣を「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と定義しています。

就業先の上司に伝えても手続きは進みません。伝える相手は派遣元の担当者です。

公務員の場合

公務員は民法ではなく国家公務員法・地方公務員法の枠組みになります。国家公務員法第61条は、退職を任命権者が行うと定めています。

条件付採用期間の扱いも民間の試用期間とは別の制度なので、この記事の説明を当てはめないでください。

「研修費を返せ」と言われた場合

入社直後に辞めると、研修費用や資格取得費用の返還を求められることがあります。

労働基準法第16条は次のように定めています。

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

——労働基準法 第16条(e-Gov 法令検索)

あらかじめ金額を決めておく契約が禁じられています。

ただし、会社が立て替えた実費を消費貸借として返還請求する形は、契約の内容によって判断が分かれます。「違法だから払わなくてよい」と単純に決めつけないでください。

契約書のその条項を持って、総合労働相談コーナーか弁護士に相談するのが確実です。

辞めると伝える前にやっておくこと

在籍期間が短くても、必要な書類は同じです。

書類 何に使うか 短期在籍で起きやすいこと
労働条件通知書・求人票の控え 条件が違った場合の材料 まだ交付されていないことがある
給与明細 日割り計算が合っているかの確認 支給前に辞めると発行が遅れる
雇用保険の加入状況 離職票が出るかどうか 手続きが済んでいないことがある
研修費・資格取得費の契約書 返還を求められた場合の材料 入社時にまとめて署名している

短期間で辞める場合、これらが「まだ渡されていない」ことがあります。渡されていない場合は、その事実自体を記録に残しておいてください。

代行を使うかどうかの分かれ目

試用期間中の退職では、有給がまだ発生していないことがほとんどです。年次有給休暇は雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した人に10労働日が付与されるとされているためです(労働基準法 第39条)。

伝えるだけで足りる場合

有給の話し合いが発生しないぶん、争点は少なくなります。退職の意思を伝えるところまでで足りる場合が多い、ということです。

話し合いや請求が必要になる場合

一方で、次に当てはまる場合は範囲が変わります。

  • 聞いていた条件と違うことを理由に即時で辞めると主張する
  • 研修費・資格取得費の返還を求められている
  • 本採用の拒否を解雇として争う

会社が争う姿勢を見せているなら、どこまで頼めるかの範囲を先に確認してください。

試用期間中の人が選ぶことになる依頼先

在籍が短いぶん、争点は「条件が違った」「研修費を返せと言われた」に集中します。その2つがあるかどうかで、頼む先が変わります。

条件の相違も費用の返還請求もないなら、いちばん左で足ります。返還を求められているなら、金銭の請求になるのでいちばん右です。

よくある質問

入社して3日で辞めたいと言ったら、研修費用を返せと言われました。

労働基準法第16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり損害賠償額を予定する契約を禁じています。ただし会社が立て替えた実費を消費貸借として返還請求する形は、契約の内容によって判断が分かれます。契約書のその条項を持って、労働基準監督署か弁護士に相談してください。

試用期間中に辞めると、経歴に残って次の転職で不利になりますか。

短期間の在籍でも雇用保険に加入していれば記録は残ります。ただし在籍期間の長さそのものより、そこで何があったかを説明できるかどうかが見られます。社会保険や雇用保険の加入手続きが済んでいたかは、離職票が発行されるかどうかで確認できます。

試用期間中に会社から「向いていない」と言われました。辞めさせられるのですか。

会社から辞めさせる場合は解雇にあたり、客観的に合理的な理由が必要とされています。自分から辞めると言った形にすると、失業給付の受給開始時期が変わることがあります。どちらの扱いになっているかは離職票の離職理由の欄に出るため、署名する前に確認してください。

試用期間が終わる直前に本採用しないと言われました。

本採用の拒否は解雇にあたるとされ、会社の側に理由の説明が求められます。労働基準法第22条第2項は、解雇の予告がされた日から退職の日までの間に解雇の理由について証明書を請求した場合、使用者は遅滞なく交付しなければならないと定めています。理由を書面で受け取っておいてください。

試用期間中でも有給休暇はもらえますか。

年次有給休暇は、雇入れの日から6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に10労働日が付与されるとされています。試用期間が6か月未満で終わる場合、この時点ではまだ付与されていないことになります。残日数は給与明細で確認してください。

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