目次
- 雇用主は派遣元
- だから伝える相手が決まる
- 就業先には別に伝えてよい
- 契約期間の定めがあるかを確認する
- 期間の定めがない場合
- 期間の定めがある場合
- 更新しないという選択
- 次の更新日を確認する
- 更新しない意思はいつ伝えるか
- 就業先で起きたことが理由の場合
- まず派遣元に伝える
- 記録を残す
- 派遣元が動かない場合
- 有給はどうなるか
- 派遣特有のつまずき
- 担当者が変わって話が伝わっていない
- 就業先の契約と、自分の雇用契約の期間が違う
- 次の就業先を紹介すると言われる
- 辞める前に確認する3つ
- 1. 労働条件通知書の契約期間
- 2. 有給の残日数
- 3. 次の更新日
- 退職後の手続きも派遣元が窓口
- 届かない場合の連絡先
- 雇用保険の加入状況を確認する
- 有給の残日数は退職時に精算されない
- 誰に相談するか
- 依頼先を選ぶなら
- 先に見るのは契約期間の欄
派遣で働いていると、毎日顔を合わせるのは就業先の人です。だから辞めたいと思ったとき、その人に言おうとしてしまいます。
そこで止まります。雇用契約を結んでいるのは就業先ではないためです。
先に整理します。伝える相手は派遣元です。そして辞められる条件は、契約に期間の定めがあるかどうかで変わります。
誰と契約しているか
雇用主は派遣元
労働者派遣法第2条第1号は、労働者派遣を次のように定義しています。
労働者派遣 自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい……
——労働者派遣法 第2条第1号(e-Gov 法令検索)
「自己の雇用する労働者を」とあります。雇用しているのは派遣元です。
派遣先が持っているのは指揮命令の関係だけです。仕事の指示は受けますが、雇用契約の当事者ではありません。
だから伝える相手が決まる
退職の申し入れは、雇用契約の相手に対して行います。就業先に伝えても、正式な申し入れにはならないのが通常です。
派遣先から派遣元へ話が伝わることはありますが、日付が残らないため起算点が曖昧になります。
就業先には別に伝えてよい
現場に迷惑をかけたくないという気持ちがあるなら、就業先にも伝えて構いません。ただしそれは配慮であって、手続きとは別です。
順序としては派遣元が先です。
契約期間の定めがあるかを確認する
ここが次の分かれ目です。労働条件通知書の「契約期間」の欄を見てください。
期間の定めがない場合
民法第627条により、申し入れから2週間で契約が終わります。相手の承諾は要件になっていません。
期間の定めがある場合
3か月更新、6か月更新といった形です。この場合は第628条の話になります。
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。
——民法 第628条(e-Gov 法令検索)
「やむを得ない事由」が要件になります。何がこれにあたるかは事情によって判断が分かれるため、単純に「途中でも辞められる」とは言えません。
| 契約の形 | 使う条文 | 辞めるまで |
|---|---|---|
| 期間の定めなし | 民法627条 | 申し入れから2週間 |
| 期間の定めあり(途中で辞める) | 民法628条 | やむを得ない事由があるとき |
| 期間の定めあり(更新しない) | — | 期間満了で終了 |
更新しないという選択
契約期間の途中で辞めるより、更新をしないと伝えるほうが手続きが単純です。
期間満了による終了になるため、「やむを得ない事由」の判断が要りません。
次の更新日を確認する
労働条件通知書に契約期間が書かれています。次の更新日までが近いなら、この方法が現実的です。
更新しない意思はいつ伝えるか
派遣元は次の就業先を探す必要があるため、早めに伝えるほうが摩擦が減ります。ただし義務としての期限があるわけではありません。
更新日から逆算して、余裕を持って伝えてください。
就業先で起きたことが理由の場合
ハラスメント、聞いていた業務内容との相違、就業環境の問題。これらの申し出先も派遣元です。
まず派遣元に伝える
雇用主は派遣元なので、対応を求める相手も派遣元になります。就業先に直接言っても、契約上の対応は始まりません。
記録を残す
いつ、誰に、何を言われたか。就業先での出来事と、派遣元に伝えた日付の両方を残してください。
派遣元が動かない場合
都道府県労働局や総合労働相談コーナーに相談できます。夜間や休日しか動けない場合は労働条件相談ほっとラインが使えます。
有給はどうなるか
派遣で働いていても年次有給休暇は付与されます。付与するのは雇用主である派遣元です。
雇入れの日から6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤していることが要件です。所定労働日数が少ない場合は日数が比例して決まります。
残日数は派遣元に確認してください。就業先は把握していません。
派遣特有のつまずき
担当者が変わって話が伝わっていない
派遣元の担当者は交代することがあります。前の担当者に伝えた話が引き継がれていない、ということが起きます。
伝えた日付と担当者名を記録してください。メールで送っておくと、担当が変わっても残ります。
就業先の契約と、自分の雇用契約の期間が違う
派遣元と派遣先の間の契約と、自分と派遣元の間の雇用契約は別です。就業先の案件が終わる日と、自分の契約期間の満了日は一致しないことがあります。
見るのは自分の労働条件通知書です。
次の就業先を紹介すると言われる
辞めたい理由が就業先にある場合、派遣元から別の案件を提案されることがあります。
続ける意思があるなら選択肢になりますが、辞めると決めているなら断って構いません。提案を断ったことで、退職の手続きが止まることはありません。
辞める前に確認する3つ
1. 労働条件通知書の契約期間
期間の定めがあるかどうかで、使う条文が変わります。ここが最初です。
2. 有給の残日数
派遣元に問い合わせて確認します。退職日を逆算するのに要ります。
3. 次の更新日
更新しない形を選べるかどうかが分かります。
退職後の手続きも派遣元が窓口
離職票や源泉徴収票を発行するのは雇用主である派遣元です。就業先は関わりません。
届かない場合の連絡先
派遣元の担当者に請求します。それでも届かない場合は、離職票についてはハローワークに相談できます。
雇用保険の加入状況を確認する
短期の派遣を繰り返している場合、加入していない期間があることがあります。給与明細の控除欄で確認してください。
有給の残日数は退職時に精算されない
会社に買い取る義務はありません。退職日までに使う日程を確保しないと消えます。
誰に相談するか
| 依頼先 | 退職の意思を会社に伝える | 有給・退職日・未払い賃金の話し合い | 損害賠償の請求や訴訟への対応 |
|---|---|---|---|
| 弁護士 | 対応できる | 対応できる | 対応できる |
| 労働組合 | 対応できる | 団体交渉として対応できる | 対応範囲外 |
| 民間企業 | 対応できる | 対応範囲外 | 対応範囲外 |
労働組合の代表者や委任を受けた者は、労働組合法第6条により使用者と交渉する権限を有するとされています。いっぽう弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を業として取り扱うことは弁護士法第72条で禁じられており、民間企業が会社と交渉した場合はこの規定に触れる可能性が指摘されています。自分の事情がどれにあたるかの判断は弁護士の領分です。条文:労働組合法/弁護士法(e-Gov法令検索・2026年8月確認)
期間の定めがなく、争うことも何もないなら、伝えるところまでで足ります。
期間の途中で辞めたい、就業先での出来事を理由に主張したい、といった場合は話し合いになります。伝えるだけのサービスでは扱えません。
依頼先を選ぶなら
依頼するときに伝える情報も変わります。就業先の名称ではなく、派遣元の名称と担当者を伝えてください。連絡先を取り違えると、手続きが進みません。
料金と対応範囲を並べた比較はどこに頼むかにまとめています。
先に見るのは契約期間の欄
期間の定めがあるかどうかで、この先の進め方が全部変わります。労働条件通知書を探すところから始めてください。
日程の組み方は退職は何日前に言えばいいのかにまとめています。
よくある質問
派遣先の上司に「辞めます」と言いました。これで進みますか。
就業先に伝えても、雇用契約の相手ではないため手続きは始まりません。派遣先から派遣元へ話が伝わることはありますが、正式な申し入れにはならないのが通常です。派遣元の担当者に改めて伝えてください。
契約の途中でも辞められますか。
期間の定めがある契約の場合、民法628条により、やむを得ない事由があるときは直ちに解除できるとされています。何がこれにあたるかは事情によって判断が分かれるため、まず労働条件通知書の契約期間の欄を確認してください。期間の定めがなければ627条の2週間で終わります。
次の更新をしないという形でもいいですか。
更新をしない意思を伝える形なら、期間満了による終了になります。契約期間の途中で辞めるより手続きが単純です。次の更新日が近い場合は、この方法が現実的なことがあります。
派遣元が辞めさせてくれません。
期間の定めがない契約であれば、申し入れから2週間で終了するとされており、相手の承諾は要件になっていません。期間の定めがある場合は事情によります。断られた内容と日付を記録したうえで、労働局や総合労働相談コーナーに相談できます。
就業先でハラスメントを受けています。どこに言えばいいですか。
雇用主は派遣元なので、まず派遣元に申し出るのが筋になります。派遣元が対応しない場合は、都道府県労働局や総合労働相談コーナーに相談できます。言われた内容と日時の記録を残しておいてください。
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