契約社員が期間の途中で辞めたい|民法628条の「やむを得ない事由」とは

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目次
  1. まず契約の形を確認する
  2. 書類が手元にない場合
  3. 契約社員でも無期のことがある
  4. 期間の途中で辞める場合
  5. 「やむを得ない事由」が要件
  6. 過失があれば賠償の責任
  7. 待てるなら更新しない形が単純
  8. 次の満了日を確認する
  9. 更新しない意思はいつ伝えるか
  10. 更新を前提に話が進んでいる場合
  11. 「途中で辞めたら違約金」と書かれている場合
  12. 有給はどうなるか
  13. 更新を重ねている場合に変わること
  14. 有給の勤続年数は通算される
  15. 無期に転換していることがある
  16. 雇止めと自己都合は別
  17. 集めておく書類
  18. 誰に相談するか
  19. 依頼先を選ぶなら
  20. 先に見るのは契約期間の欄

「2週間で辞められる」という説明を読んで、自分にも当てはまると思った方は先に確認してください。

契約期間が決まっている場合、その説明は当てはまりません。根拠になっている民法627条は、期間の定めがない契約についての条文だからです。

契約社員が使うのは別の条文です。要件が違うため、進め方も変わります。

契約の形で条文が分かれる

労働条件通知書の「契約期間」の欄 期間の定めなし 民法627条 申し入れから 2週間で終了 期間の定めあり 民法628条 やむを得ない事由 があるとき 待てるなら 更新しない形にする (要件の判断が不要) まず自分の契約がどちらかを確認する
契約の形が分からないまま進めると、間違った説明を当てはめることになります。

まず契約の形を確認する

労働条件通知書か雇用契約書の「契約期間」の欄を見てください。

記載 契約の形 使う条文
期間の定めなし 無期 民法627条
令和◯年◯月◯日〜令和◯年◯月◯日 有期 民法628条

書類が手元にない場合

会社に交付を求められます。労働基準法15条は、労働契約の締結に際して労働条件を明示することを求めています。

受け取っていない場合は、その事実自体を記録してください。

契約社員でも無期のことがある

更新を繰り返して無期に転換している場合があります。名称が「契約社員」でも、契約期間の欄に定めがなければ627条の話です。

肩書きではなく、書類の記載で判断してください。

期間の途中で辞める場合

民法第628条は次のように定めています。

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

——民法 第628条(e-Gov 法令検索)

読むべき点が2つあります。

「やむを得ない事由」が要件

条文に列挙はありません。何が当たるかは事情によって判断が分かれます。

挙げられることがあるのは、健康上の理由、家族の介護、賃金の未払い、聞いていた労働条件との相違といったものです。ただし当てはまるかどうかは個別の判断で、一律に決まりません。

過失があれば賠償の責任

条文の後段は「その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う」としています。

ただし実際に賠償が認められるかは、損害の有無と因果関係の立証によります。請求されたからといって、直ちに支払う必要があるわけではありません。

待てるなら更新しない形が単純

期間満了で更新しないという形にすれば、「やむを得ない事由」の判断が要りません。

次の満了日を確認する

契約期間の欄に終期が書かれています。そこまでの期間が短いなら、この方法が現実的です。

更新しない意思はいつ伝えるか

会社は後任の手配が必要になるため、早めに伝えるほうが摩擦が減ります。ただし期間満了で終わること自体は、伝える時期で変わりません。

更新を前提に話が進んでいる場合

すでに次の契約書を渡されている、更新の意思確認を受けている、といった段階なら、更新しない意思をはっきり伝えてください。

曖昧なままだと、更新されたものとして扱われることがあります。

「途中で辞めたら違約金」と書かれている場合

契約書にこの種の条項が入っていることがあります。

労働基準法第16条は次のように定めています。

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

——労働基準法 第16条(e-Gov 法令検索)

あらかじめ金額を決めておく形は、この条文の問題になります。

実際に生じた損害を請求することと、金額を先に決めておくことは別です。契約書のその条項を持って相談してください。

判断の枠組みは辞めるなら研修費を返せと言われたにもまとめています。

有給はどうなるか

有期契約でも年次有給休暇は付与されます。雇入れの日から6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤していることが要件です。

所定労働日数が少ない場合は日数が比例して決まります。更新を繰り返している場合、継続勤務年数は通算されます。

残日数は給与明細か勤怠システムで確認してください。

更新を重ねている場合に変わること

同じ会社で有期契約を繰り返していると、扱いが変わることがあります。

有給の勤続年数は通算される

契約が切れて更新されている場合でも、実質的に継続していれば勤続年数は通算されます。付与日数は年数に応じて増えます。

「更新のたびにリセット」と言われた場合は、勤怠システムの記録を確認してください。

無期に転換していることがある

有期契約が繰り返されて一定期間を超えると、無期に転換する仕組みがあります。転換していれば、扱いは正社員と同じ627条になります。

契約書の期間の欄が「期間の定めなし」に変わっているかを見てください。

雇止めと自己都合は別

会社が更新しないと言ってきた場合は雇止めで、自分から更新しないと言う場合とは離職理由の扱いが変わります。

どちらの形になっているかは離職票に出ます。署名する前に記載を確認してください。

集めておく書類

相談するときに、これがあるかどうかで話の進み方が変わります。

  1. 労働条件通知書または雇用契約書(契約期間と違約金条項の確認)
  2. これまでの契約書(更新の履歴が分かるもの)
  3. 給与明細(有給の残日数と賃金の支払い状況)
  4. 辞めたい理由を裏づける資料(診断書、未払いの記録など)

4つ目は「やむを得ない事由」を主張する場合に要ります。

誰に相談するか

依頼先ごとに、対応できるとされている範囲
依頼先退職の意思を会社に伝える有給・退職日・未払い賃金の話し合い損害賠償の請求や訴訟への対応
弁護士対応できる対応できる対応できる
労働組合対応できる団体交渉として対応できる対応範囲外
民間企業対応できる対応範囲外対応範囲外

労働組合の代表者や委任を受けた者は、労働組合法第6条により使用者と交渉する権限を有するとされています。いっぽう弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を業として取り扱うことは弁護士法第72条で禁じられており、民間企業が会社と交渉した場合はこの規定に触れる可能性が指摘されています。自分の事情がどれにあたるかの判断は弁護士の領分です。条文:労働組合法弁護士法(e-Gov法令検索・2026年8月確認)

期間満了で更新しないだけなら、争う要素はありません。伝えるところまでで足ります。

期間の途中で辞めたい場合は、要件の判断が絡みます。損害賠償を持ち出されたら、その時点で弁護士の領分です。

無料で相談できる窓口もあります。契約書を持って総合労働相談コーナーに行けば、自分の契約がどちらの型かを含めて確認できます。

依頼先を選ぶなら

更新しない意思を伝えるだけなら、いちばん左で足ります。途中解約を主張する、賠償を求められている、という段階なら右寄りの選択になります。

料金と対応範囲の比較はどこに頼むかにまとめています。

途中解約で揉めている場合の相談先を見てみる

先に見るのは契約期間の欄

ここが分からないまま進めると、無期の説明を有期に当てはめることになります。

書類を確認したら、日程の組み方は退職は何日前に言えばいいのかにまとめています。

満了日まで待てるかどうかが決まれば、あとは伝える方法を選ぶだけです。要件の判断で止まっている時間のほうが、待つ期間より長くなることがあります。

よくある質問

「やむを得ない事由」に何が当たりますか。

条文に列挙はなく、事情によって判断が分かれます。健康上の理由、家族の介護、賃金の未払いや労働条件の相違といったものが挙げられることがありますが、当てはまるかどうかは個別の判断です。自分の事情がこれにあたるかは、契約書と経緯を持って弁護士に確認してください。

契約期間が終わるまで待たないといけませんか。

待てるなら、期間満了で更新しない形がいちばん単純です。要件の判断が要らず、争いも起きにくくなります。ただし満了までが長く、待てない事情があるなら628条の話になります。

途中で辞めたら損害賠償を請求されますか。

民法628条は、やむを得ない事由が当事者の一方の過失によって生じたときは相手方に対して損害賠償の責任を負うと定めています。ただし実際に賠償が認められるかは、損害の有無と因果関係の立証によります。請求された場合は、その内容と根拠の提示を求めてください。

契約書に「途中で辞めたら違約金」と書かれています。

労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり損害賠償額を予定する契約を禁じています。あらかじめ金額を決めておく形はこの条文の問題になります。契約書のその条項を持って相談してください。

自分の契約に期間の定めがあるか分かりません。

労働条件通知書か雇用契約書の「契約期間」の欄を見てください。「期間の定めなし」と書かれていれば正社員と同じ扱いです。日付で始期と終期が書かれていれば期間の定めがあります。書類が手元にない場合は会社に交付を求められます。

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