辞めたいのに言えないとき、明日から動かせる4つの手順

カテゴリ: 揉めてはいない

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目次
  1. 辞めることに、会社の同意は要らない
  2. 就業規則の「1か月前まで」との関係
  3. 契約期間が決まっている場合は別
  4. 明日から動かせる4つの手順
  5. 手順1|退職日を決める
  6. 手順2|手元に控えを残す
  7. 手順3|伝える方法を決める
  8. 手順4|貸与品と私物の扱いを決める
  9. 自分で伝える場合の書き方
  10. 退職届に書くこと
  11. メールで伝える場合の文面
  12. 代行に頼む場合、何が決まるのか
  13. 伝えるだけで足りるケース
  14. 話し合いが必要なケース
  15. どこに頼むことになるのか
  16. 引き止められたときの考え方
  17. 「後任が決まるまで待ってほしい」
  18. 「損害賠償を請求する」
  19. 「離職票は出さない」
  20. 「規則違反だ」「懲戒にする」
  21. 最後の給料と返却物について
  22. いま、体調に影響が出ている場合
  23. 今日やることは、1つだけでいい

言い出せないまま何週間も過ぎている状態は、めずらしいことではありません。

先に結論だけ書きます。辞めるのに会社の許可は要らず、退職日は自分で決められます。やることは、伝える相手と方法を決める前に、退職日を決めることです。

順番を逆にすると止まります。「どう言えばいいか」から考え始めると、答えが出ないまま次の週になるからです。

動かす順番

1. 退職日を決める 最短で2週間後。有給が残っていればその日数を足す 2. 控えを残す 給与明細・雇用契約書・勤怠記録・就業規則 3. 伝える方法を決める 自分で口頭・書面を郵送・退職代行に依頼 4. 貸与品と私物 返す物・返す方法・私物の引き取り 今日やるのは「1」だけでいい 3から考え始めると答えが出ないまま次の週になる
順番を守ると判断が減ります。伝え方から考えないでください。

辞めることに、会社の同意は要らない

根拠になるのは民法第627条です。契約期間が決まっていない働き方について、こう書かれています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

——民法 第627条(e-Gov 法令検索)

申し入れが会社に届いてから2週間で契約は終わる、という書き方です。会社が認めるかどうかは条件に入っていません。

就業規則の「1か月前まで」との関係

就業規則に「退職は1か月前までに申し出ること」と書かれている会社もあります。厚生労働省のモデル就業規則にも同様の定めの例があり、めずらしいものではありません。

円満に進めたいなら合わせたほうがよいものの、それは会社の内部のルールです。引き止められること自体は、手続きを止める力を持ちません。

契約期間が決まっている場合は別

契約社員やパートで契約期間が決まっている場合、この条文は使えません。民法第628条の「やむを得ない事由」が要件になります。

自分の契約がどちらなのかは、労働条件通知書の「契約期間」の欄に「期間の定めなし」と書かれているかどうかで分かります。

明日から動かせる4つの手順

手順1|退職日を決める

カレンダーを開いて、日付を1つ決めます。最短でも申し入れから2週間後です。

有給が残っているなら、その日数を足した日付にします。残日数は給与明細に記載されていることが多く、分からなければ勤怠システムで確認できます。

この1つを決めるだけで、残りの判断がすべて簡単になります。

有給の残日数が分からないまま日付を決めると、あとで動かすことになります。次のどれかで先に確認してください。

  1. 給与明細の「有給残日数」欄(毎月出ている会社が多い)
  2. 勤怠システムの休暇申請画面
  3. 人事や総務への問い合わせ(辞める話をせずに残日数だけ聞ける)

年次有給休暇は、雇入れの日から6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した人に10労働日が付与されるとされています(労働基準法 第39条)。入社半年に満たない場合は、まだ付与されていない可能性があります。

手順2|手元に控えを残す

伝えたあとは、社内システムにアクセスできなくなることがあります。先に控えを取っておきます。

残すもの 何に使うか 取り方
直近数か月分の給与明細 有給の残日数・最後の給料の検算 給与システムからPDFを保存
雇用契約書・労働条件通知書 契約期間の有無・条件の相違の確認 入社時の書類を探す
タイムカード・勤怠記録 未払いの残業代を請求する場合の材料 勤怠システムから出力
就業規則(退職・有給の部分) 会社のルールの確認 社内共有から保存
会社とのやりとり 引き止め・強い言葉を受けた場合の記録 メールを個人宛に転送

未払いの残業代を後から請求する可能性がある人ほど、この作業は先にやってください。あとから取り寄せるのは手間がかかります。

手順3|伝える方法を決める

方法は3つあります。どれを選んでも、退職そのものの効力は変わりません。

方法 向いている状況 費用 出社の要否
自分で口頭で伝える 引き止めに対応できる。会社と争うことがない かからない 必要
書面を郵送する 顔を合わせたくないが、自分で手続きしたい 郵送費のみ 不要
退職代行に依頼する 連絡そのものが難しい。出社しない前提で進めたい 依頼先による 不要

自分で伝えられるなら、それがいちばん費用がかかりません。配達の記録が残る方法で退職届を送れば、出社せずに手続きを始めることもできます。

代行を使う判断になるのは、連絡が来ること自体が負担になっている場合です。会社からの電話を取らずに進めたい、家に来られたくない、といった状況では、間に入る相手がいることに意味があります。

手順4|貸与品と私物の扱いを決める

制服・PC・社員証・鍵などの返却方法を決めます。郵送でよいかどうかは会社によります。

ロッカーや机に私物がある場合は、送ってもらうのか取りに行くのかも先に決めておきます。ここが決まっていないと、退職日のあとも連絡が続きます。

決めるのは次の3点です。

  1. 返す物の一覧(制服・パソコン・社員証・鍵・名刺・作業着)
  2. 返す方法と送料の負担(郵送か持参か)
  3. 私物の扱い(送ってもらうか、取りに行くか、処分してもらうか)

郵送で返す場合は、送った記録が残る方法にしてください。「返していない」と言われる余地を残さないためです。

連絡を代わりに伝えてもらう場合の料金を見てみる

自分で伝える場合の書き方

書面で伝えるなら、退職届を配達の記録が残る方法で送ります。届いた日付が残るため、2週間の起算点をはっきりさせられます。

退職届に書くこと

長く書く必要はありません。次の4点が入っていれば足ります。

  1. 退職する旨
  2. 退職日
  3. 提出日
  4. 所属と氏名

理由は「一身上の都合により」で足ります。本当の理由を書く義務はありません。

メールで伝える場合の文面

メールで伝える場合は、送信済みフォルダを残しておきます。次の程度で足ります。

件名:退職のご連絡(営業部 ◯◯)

◯◯部 ◯◯様

お世話になっております。営業部の◯◯です。
一身上の都合により、◯月◯日をもって退職いたします。

業務の引き継ぎについては、資料をまとめて共有フォルダに置いております。
貸与品の返却方法について、ご指示いただけますと幸いです。

よろしくお願いいたします。

引き止めが強い職場でも、書面が届いていれば手続きは進みます。話し合いに応じる義務は、辞める側にはありません。

代行に頼む場合、何が決まるのか

依頼したあと、あなたが会社と直接やり取りしないで済むかどうかは、依頼先が会社にどこまで言えるかで決まります。

伝えるだけで足りるケース

有給が残っておらず、未払いもなく、会社と争うことがないなら、退職の意思を伝えてもらうだけで手続きは進みます。この場合、依頼先による差は料金にしか出ません。

話し合いが必要なケース

有給を消化したい、退職日を動かしたい、未払いの残業代があるといった話がある場合は、伝えるだけのサービスでは足りません。会社と話し合える立場かどうかで結果が変わります。

自分の状況がどちらなのかは、依頼先の範囲の違いで詳しく確認できます。

どこに頼むことになるのか

ここまで読んで「代行を使うかもしれない」と思ったなら、選択肢は3つに絞られます。退職代行はサービスによる差が小さく、迷うのは主体の違いだけだからです。

いま争っていることが何もないなら、いちばん左で足ります。有給の残日数を調べた結果、消化したい日数が出てきたなら真ん中に移ります。

引き止められたときの考え方

言い出せない理由の多くは、言ったあとに何を言われるかが読めないことです。よくある言われ方を先に見ておくと、その場で固まらずに済みます。

「後任が決まるまで待ってほしい」

後任の採用は会社の仕事であって、辞める側の条件ではありません。民法第627条は後任の有無を要件にしていません。

ただし期日を切らずに了承すると、そのまま数か月動かなくなります。待つ場合も「◯月◯日まで」と日付で答えてください。

「損害賠償を請求する」

辞めたこと自体を理由に賠償を求めることは、通常は認められにくいとされています。ただし実際に請求された場合の対応は事情によるため、この段階からは弁護士の領分です。

言われた日時と内容をその日のうちに記録してください。メモでも、自分宛に送ったメールでも構いません。

「離職票は出さない」

離職票は失業給付の手続きに使う書類で、会社が交付に必要な手続きを行うことになっています。出さないと言われた場合は、お住まいの地域を管轄するハローワークに相談できます。

言われた内容を記録したうえで、退職日を動かさずに進めてください。

「規則違反だ」「懲戒にする」

就業規則の「1か月前まで」に従わなかったことを理由に懲戒をほのめかされることがあります。就業規則は会社の内部のルールであり、民法第627条の効力を上書きするものではないとされています。

ただし懲戒と言われた事実は残しておいてください。実際に処分が出た場合は弁護士に相談する場面になります。

最後の給料と返却物について

辞めたあとに揉めやすいのがここです。先に条文を知っておいてください。

労働基準法第23条は次のように定めています。

使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。

——労働基準法 第23条(e-Gov 法令検索)

7日以内と書かれていますが、条件が付いています。「権利者の請求があつた場合においては」です。

黙って待っていれば7日で支払われる、という条文ではありません。請求して初めて7日が始まります。請求した日付を残しておいてください。

いま、体調に影響が出ている場合

眠れない、朝に体が動かないといった状態が続いているなら、退職の手続きより先に医療機関にかかってください。診断があれば、休職という選択肢も出てきます。

賃金が支払われていない、労働時間が記録されていないといった問題があるときは、総合労働相談コーナーに無料で相談できます。夜間や休日しか時間が取れない場合は労働条件相談ほっとラインが使えます。

退職代行に頼むかどうかとは別に、使える窓口です。

今日やることは、1つだけでいい

退職日を1つ決める。それだけで次の判断が進みます。

伝える方法も、依頼先も、その日付が決まってから選べます。

日付が決められないなら、有給の残日数を調べるところまでで構いません。残日数が分かれば、最短の退職日は自動的に決まります。

よくある質問

退職届を受け取ってもらえなかった場合、退職は成立しないのですか。

退職の意思表示は相手に到達した時点で効力が生じるとされているため、受け取りを拒まれたこと自体で無効になるわけではありません。ただし到達したことを後から示せる状態にしておく必要があります。手渡しで受け取ってもらえないときは、配達の記録が残る方法で送る、送信済みのメールを残しておくといった形にしてください。

明日から行きたくないのですが、退職日まで出社しないといけませんか。

残っている有給休暇を使う、欠勤として扱ってもらうといった方法があります。有給が残っていない場合の欠勤の扱いは会社の規程によるため、給与や賞与にどう影響するかは就業規則を確認してください。体調に影響が出ている場合は、先に医療機関にかかった記録を残しておくと、その後の手続きで使えることがあります。

会社から損害賠償を請求すると言われました。

辞めたこと自体を理由に賠償を求めることは、通常は認められにくいとされています。ただし実際に請求された場合の対応は個別の事情によるため、この段階からは弁護士に相談してください。言われた内容と日時を記録しておくと、相談のときに話が早く進みます。

退職を伝えたあと、残りの期間の給料はきちんと払われますか。

労働基準法第23条は、退職の場合に権利者の請求があったときは7日以内に賃金を支払い、積立金や保証金なども返還しなければならないと定めています。ただし条文は「請求があった場合」としているため、黙って待つのではなく請求することと、請求した日付を残しておくことが必要です。

引き継ぎをしないまま辞めたら問題になりますか。

引き継ぎを義務づける条文はありません。ただし就業規則に定めがある会社は多く、まったく何も残さないと連絡が続く原因になります。担当している案件と進捗、連絡先の一覧を書面かデータで残しておくと、辞めたあとに連絡が来る回数を減らせます。

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