円満退職はしなくていい|無理に円満を目指して損する3つの場面

カテゴリ: 揉めてはいない

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目次
  1. 円満を目指して損をする3つの場面
  2. 場面1|退職日を延ばして有給が消える
  3. 場面2|引き止めに応じて時期を逃す
  4. 場面3|言いにくくて退職理由を作り込む
  5. 円満に法律上の定義はない
  6. 就業規則の「1か月前」との関係
  7. 「円満退職」という言葉が使われる場面
  8. 譲ってよいもの
  9. 引き継ぎの丁寧さ
  10. 挨拶・送別会・菓子折り
  11. 退職理由の詳しさ
  12. 譲らなくてよいもの
  13. 退職日
  14. 有給の消化
  15. 最後の給料と返却物
  16. 離職票の離職理由
  17. 引き継ぎで残す3点の書き方
  18. 円満を諦めたほうがよい場合
  19. 「円満に辞めた人」が実際にやっていること
  20. 伝える前に日付を決めている
  21. 有給の残日数を把握している
  22. 引き継ぎ資料を先に作ってある
  23. 感情の話をしない
  24. 自分で伝える場合の伝え方
  25. アポの取り方
  26. 伝える順番
  27. その場で決めない
  28. 依頼先を選ぶなら
  29. 今日決めるのは退職日だけでいい

辞めるなら円満に。そう思って動いた結果、退職日がずるずる延びている方がいます。

先に書いておきます。円満退職に法律上の定義はありません。何をすれば円満で、何をしなければ円満でないという基準は、どこにも定められていません。

つまり円満かどうかは評価の話であって、手続きの要件ではありません。この記事では、譲ってよいものと譲らなくてよいものを分けます。

円満を目指して損をする3つの場面

譲ってよいもの・譲らなくてよいもの

譲ってよい(相手の都合に合わせられる) ・引き継ぎ資料をどこまで丁寧に作るか ・挨拶・送別会・菓子折り ・退職理由をどこまで具体的に話すか 譲らなくてよい(自分の生活に直結する) ・退職日(民法627条/申し入れから2週間) ・有給の消化(労基法39条の権利) ・最後の給料と返却物の精算(労基法23条) ・離職票の離職理由の記載 上の3つを全部やっても、下の4つは削らなくていい 円満は「下」を差し出すことではない
円満にしたい気持ちは自然ですが、差し出す対象を間違えないでください。

場面1|退職日を延ばして有給が消える

「後任が決まるまで」「繁忙期が終わるまで」と言われて退職日を延ばす。ここでよく起きるのが、有給を消化しきれなくなることです。

有給は退職日までに使わないと消えます。退職日を延ばすと在籍期間は伸びますが、使う日程を確保していないと結局消えます。

延ばすかどうかを決める前に、残日数を確認して逆算してください。

場面2|引き止めに応じて時期を逃す

「もう少し考えてみないか」と言われて保留にした結果、数か月経ってしまうケースです。

期日を切らずに了承すると止まります。待つ場合も「◯月◯日まで」と日付で答えてください。

場面3|言いにくくて退職理由を作り込む

本当の理由を言いたくないので、角が立たない理由を用意する。ここまではよくあることです。

問題は、作った理由に引きずられて条件が変わる場合です。「体調が理由なら休職しては」「家庭の事情なら時短では」と提案され、断りにくくなります。

理由は「一身上の都合」で足ります。詳しく話す義務はありません。

この3つに共通するのは、譲る対象を間違えている点です。整理すると次のようになります。

求められること 応じてよいか 理由
引き継ぎ資料を作ってほしい 応じてよい 自分の負担が減る。義務ではないが実利がある
挨拶回りをしてほしい 判断は自由 慣習であって手続きに影響しない
退職日を延ばしてほしい 条件つき 有給の消化日程を確保できるなら
有給を使わないでほしい 応じなくてよい 労基法39条にもとづく権利
退職理由を詳しく話してほしい 話さなくてよい 民法627条は理由を求めていない
退職を撤回してほしい 応じなくてよい 保留にすると時期を逃す

円満に法律上の定義はない

期間の定めのない雇用契約について、民法第627条は次のように定めています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

——民法 第627条(e-Gov 法令検索)

条文にあるのは、申し入れと2週間という期間だけです。円満だったかどうかは要件に入っていません。

就業規則の「1か月前」との関係

就業規則に「退職は1か月前までに申し出ること」と書かれている会社は多くあります。厚生労働省のモデル就業規則にも同様の例があります。

合わせられるなら合わせたほうが摩擦は減ります。ただしそれは会社の内部のルールであって、守らなければ辞められないというものではありません。

「円満退職」という言葉が使われる場面

この言葉は、会社側が譲歩を求めるときにも使われます。

「円満に辞めてほしい」と言われたとき、具体的に何を求められているのかを聞いてください。引き継ぎのことなのか、退職日のことなのかで、応じてよいかどうかが変わります。

譲ってよいもの

引き継ぎの丁寧さ

労働基準法にも民法にも、引き継ぎを求める規定は置かれていません。ただし何も残さないと、退職後も連絡が来る原因になります。

自分の負担を減らすためにやる、と考えると割り切れます。次の3点があれば足ります。

  1. 担当している案件の一覧と、それぞれの進捗
  2. 関係者の連絡先
  3. よく使う資料の保存場所

完璧な引き継ぎ書は要りません。連絡が来なくなる程度で十分です。

挨拶・送別会・菓子折り

すべて慣習であって義務ではありません。しないことで手続きが止まることはありません。

体調が優れない場合や、顔を合わせたくない場合は、しないという選択で問題ありません。

退職理由の詳しさ

「一身上の都合により」で足ります。詳しく説明したほうが話が早いと感じるならそうしてよく、話したくないなら話さなくてよい。どちらでも手続きは同じように進みます。

譲らなくてよいもの

退職日

民法第627条により、申し入れから2週間で契約は終わります。会社の同意は要件になっていません。

有給の消化

年次有給休暇は、雇入れの日から6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した人に10労働日が付与されるとされています(労働基準法 第39条)。

残っている分をどう使うかは、退職日との関係で決まります。円満のために放棄する必要はありません。

最後の給料と返却物

労働基準法23条は、退職の場合に権利者の請求があったときは7日以内に賃金を支払い、積立金や保証金なども返還しなければならないと定めています。

条文は「請求があった場合」としています。黙って待つのではなく、請求してください。

離職票の離職理由

失業給付の受け取り方に直結します。記載に納得できない場合は、ハローワークに申し出る道があります。

引き継ぎで残す3点の書き方

「完璧に」と考えると終わりません。次の粒度で足ります。

残すもの 書く内容 どこに置くか
案件の一覧 案件名・相手先・現在の状況・次にやること 共有フォルダ
連絡先 社外の担当者名と連絡手段 同上
資料の場所 よく使うファイルの保存先 同上

引き継ぎの相手が決まっていない場合も、フォルダに置いて場所を伝えておけば足ります。自分が誰かに説明する場を設ける必要はありません。

円満を諦めたほうがよい場合

次のような状況では、円満を目指すこと自体が負担になります。

  • 話し合いのたびに強い言葉を言われる
  • 退職を伝えるたびに保留にされる
  • 体調に影響が出ている

こうした場合、関わる回数を減らすほうが優先されます。円満に見せるためのやり取りを続けると、その分だけ時間と体力を使います。

会社からの連絡が来ること自体が負担になっているなら、間に入る相手がいることに意味があります。

「円満に辞めた人」が実際にやっていること

摩擦が少なかったケースに共通するのは、丁寧さではなく段取りです。

伝える前に日付を決めている

退職日が決まっていると、話が「辞めるかどうか」ではなく「いつ辞めるか」から始まります。引き止めの余地が減ります。

有給の残日数を把握している

「有給はどうしますか」と聞かれたときに、その場で答えられます。会社側も日程を組みやすくなり、結果として揉めません。

引き継ぎ資料を先に作ってある

伝えた時点で資料ができていると、会社側の心配が1つ消えます。引き止める理由を先に潰しておく、という考え方です。

感情の話をしない

不満があっても、退職を伝える場では触れないほうが短く終わります。伝えるべきことは日付と手続きだけです。

改善を求めたい場合は、退職の話とは別の場を設けてください。混ぜると、どちらの話も進まなくなります。

自分で伝える場合の伝え方

摩擦を減らしたいだけなら、伝え方の工夫で足ります。

アポの取り方

「ご相談したいことがあるのでお時間をいただけますか」で足ります。用件を先に言う必要はありません。

伝える順番

直属の上司に先に伝えるのが一般的です。先に同僚に話すと、上司が別ルートで知ることになり、そこで角が立ちます。

その場で決めない

引き止められた場合、その場で返事をしないでください。「持ち帰って考えます」と言えば、後日書面で伝えられます。

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依頼先を選ぶなら

争っていることが何もないなら、選択肢は限られます。

引き継ぎや挨拶をどうするかは、依頼先が決めることではありません。退職の連絡を取り次いでもらったうえで、書類のやり取りは自分で進めることもできます。

今日決めるのは退職日だけでいい

円満にするかどうかは、退職日が決まってからでも間に合います。

先に日付を決めてください。有給の残日数を調べれば、最短の退職日は自動的に決まります。手順は辞めたいのに言えないときにまとめています。

よくある質問

円満退職しないと転職に不利になりますか。

前の勤務先が退職の経緯を次の勤務先へ伝える義務はありません。労働基準法第22条第4項は、あらかじめ第三者と謀って就業を妨げることを目的とした通信を禁じています。ただし離職票の離職理由の欄は失業給付の手続きで使うため、記載内容は自分で確認してください。

引き継ぎをしないと損害賠償を請求されますか。

引き継ぎを義務づける条文はありません。就業規則に定めがある会社は多いものの、それを理由に賠償が認められるかは別の話です。ただし何も残さないと退職後も連絡が続く原因になります。担当案件と進捗、連絡先の一覧を書面かデータで残しておくと、自分の負担が減ります。

上司に「無責任だ」と言われました。

評価と手続きは別のものです。民法第627条は退職の申し入れに理由を求めていません。言われた内容が続くようなら、日付と内容を記録してください。繰り返される場合は、その事実自体が相談の材料になります。

送別会や挨拶回りは必要ですか。

義務ではありません。体調や状況によっては、しないという選択で問題ありません。取引先への挨拶が必要な場合も、会社が誰にどう連絡するかを決めることなので、自分で背負わなくて構いません。

菓子折りは持っていくべきですか。

慣習であって、義務ではありません。渡さなかったことで手続きが止まることはありません。判断に迷うなら、退職日を決めることを優先してください。

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