退職勧奨を自己都合にされた|離職票の理由を争う手順と、失うもの

カテゴリ: 今すぐ払うお金がない

本ページはプロモーション(広告)を含みます。

目次
  1. 自己都合にされると、何を失うのか
  2. 所定給付日数も別枠になる
  3. 認定するのは会社ではない
  4. 勧奨を受けた段階でやること
  5. 1. 言われた内容をその日のうちに記録する
  6. 2. やり取りを文字に残す
  7. 3. 退職届の書き方に注意する
  8. 4. 離職票が届いたら、署名の前に理由の欄を見る
  9. 離職票の記載に異議があるとき
  10. ハローワークに申し出る
  11. 会社が「助成金が受けられなくなる」と言ってきた場合
  12. 離職票が会社から届かない場合
  13. 退職日から時間が経っている場合
  14. 退職勧奨と解雇は別のもの
  15. 断り続けた場合に起きうること
  16. 面談が繰り返される
  17. 待遇や配置が変わる
  18. 体調に影響が出る
  19. 誰に相談できるか
  20. 依頼先を選ぶなら
  21. 先に決めておくこと

会社から「辞めてもらえないか」と言われて退職したのに、届いた離職票を見たら自己都合になっていた。

この状態を放置すると、受け取れる失業給付が変わります。しかも変わるのは金額だけではなく、受け取り始めるまでの期間です。

先に結論を書きます。離職理由を認定するのは会社ではありません。公共職業安定所長です。だから会社の記載が最終的な結論になるわけではありません。

自己都合にされると、何を失うのか

雇用保険法第33条は、給付制限について次のように定めています。

被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。

——雇用保険法 第33条(e-Gov 法令検索)

待期期間が満了したあと、さらに1か月以上3か月以内は基本手当が出ません。

生活費の話で言えば、次の収入が入るまでの空白がその分だけ延びるということです。

離職理由で何が変わるか

会社都合(特定受給資格者) 待期 基本手当が出る 自己都合とされた場合 待期 給付制限 1〜3か月 ここから出る 認定するのは会社ではなく公共職業安定所長 離職票の記載がそのまま結論になるわけではない 実際のやり取りを示せる資料があれば申し出られる 所定給付日数も区分によって別枠が定められている
失うのは金額よりも「受け取り始めるまでの時間」です。

所定給付日数も別枠になる

雇用保険法第23条は、特定受給資格者について、第22条とは別の所定給付日数を定めています。

具体的な日数は年齢と算定基礎期間の区分で決まるため、自分の場合が何日になるかはハローワークの手続きの案内で確認してください。

条文だけを読んで日数を決めつけないでください。区分表を見ないと分かりません。

認定するのは会社ではない

第33条の第2項には、次のように書かれています。

受給資格者が前項の場合に該当するかどうかの認定は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従つてするものとする。

つまり判断するのはハローワークです。

会社が離職票にどう書いたかは出発点であって、そこで確定するわけではありません。実際のやり取りを示せる資料があれば、申し出て判断を求められます。

ここを知らないまま、離職票を見て諦めてしまう方が多くいます。

勧奨を受けた段階でやること

まだ辞めていない、あるいは辞めると伝えた直後の段階なら、打てる手があります。

1. 言われた内容をその日のうちに記録する

日付、時刻、場所、誰に言われたか、どう言われたか。この4点を残してください。

記憶は薄れます。その日のうちに書いたものと、後から思い出して書いたものでは重みが違います。

2. やり取りを文字に残す

口頭で言われたことは、メールやチャットで確認する形にできます。

「先日のお話ですが、退職を検討するようにというご意向という理解でよろしいでしょうか」と送っておけば、返信が記録になります。

3. 退職届の書き方に注意する

ここがいちばん取り返しがつきにくい部分です。

「一身上の都合により」と書くと、自分から辞めたという記載を自分で作ることになります。勧奨を受けて辞めるなら、その旨を書いてください。

書き方 どう読まれるか
一身上の都合により退職いたします 自分から辞めたと読まれる
貴社より退職勧奨を受け、これに応じて退職いたします 会社からの働きかけがあったと読める
(そもそも退職届を出さない) 会社が退職の合意をどう示すかによる

会社から用紙を渡されて、その場で書くよう求められることがあります。その場で書かないでください。持ち帰って構いません。

4. 離職票が届いたら、署名の前に理由の欄を見る

離職票には離職理由の欄と、離職者本人が記入する欄があります。会社の記載に納得できない場合は、その旨を書けます。

署名してしまったあとでも申し出はできますが、先に見ておくほうが手間が少なく済みます。

離職票の記載に異議があるとき

ハローワークに申し出る

受給資格の決定の手続きの際に、事情を聞かれます。そこで自分の認識と、それを示す資料を出します。

集めておくとよいのは次のようなものです。

  1. 退職を勧める内容が含まれるメール・チャット・書面
  2. 面談の記録(日時・出席者・内容のメモ)
  3. 退職届の控え(提出したもののコピー)
  4. 会社から渡された退職に関する書類一式

会社が「助成金が受けられなくなる」と言ってきた場合

会社都合の離職者を出すと一部の助成金に影響が出ることがあり、それを理由に自己都合での処理を求められることがあります。

これは会社側の事情であって、離職理由の記載基準ではありません。実態に沿った記載を求めることは正当です。

応じられない場合も、離職票の異議の欄とハローワークへの申し出という道が残ります。

離職票が会社から届かない場合

そもそも離職票が送られてこないという相談もあります。手続きが進んでいないと、申し出る以前の段階で止まります。

届かない状態が続く場合は、ハローワークに相談してください。会社に対して手続きを促してもらえることがあります。

退職日から時間が経っている場合

受給資格の決定を受ける前であれば、申し出る余地があります。すでに受給が始まっている場合の扱いは事情によるため、まずハローワークで確認してください。

いずれの場合も、資料を揃えてから行くほうが話が早く進みます。

退職勧奨と解雇は別のもの

混同されやすいので分けておきます。

退職勧奨 解雇
誰が決めるか 応じるかどうかは自分 会社の一方的な意思表示
断れるか 断れる 断るという性質のものではない
会社側の要件 特に定めなし 労働契約法16条の枠がかかる

労働契約法第16条は、解雇について次のように定めています。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

——労働契約法 第16条(e-Gov 法令検索)

解雇には要件がかかるのに対し、退職勧奨は「お願い」なので会社側の負担が軽くなります。だから勧奨という形が選ばれることがあります。

勧奨に応じる義務はありません。断ったうえで働き続けるという選択もあります。

断り続けた場合に起きうること

勧奨に応じる義務はないと分かっても、断ったあとが不安で動けない方が多くいます。実際に起きうることを先に見ておいてください。

面談が繰り返される

一度断っても、日を変えて再び呼ばれることがあります。回数と日付を記録してください。

執拗に繰り返されたという事実自体が、相談したときの材料になります。「何回言われたか」を答えられる状態にしておいてください。

待遇や配置が変わる

担当から外される、異動を打診される、といったことが起きる場合があります。

変更の前後で何がどう変わったかを、辞令や業務の記録で残しておいてください。口頭の説明しかない場合は、その旨も記録に含めます。

体調に影響が出る

眠れない、朝に体が動かないといった状態が続くなら、先に医療機関にかかってください。

労働契約法第5条は、使用者が労働者の生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるよう必要な配慮をするものと定めています。診断があれば、休職という選択肢も出てきます。

ただし安全配慮義務の違反にあたるかどうかの判断は弁護士の領分です。ここで自己判断しないでください。

誰に相談できるか

離職理由の争いは、会社との間で認識が食い違っている状態です。金銭にも直接影響します。

依頼先ごとに、対応できるとされている範囲
依頼先退職の意思を会社に伝える有給・退職日・未払い賃金の話し合い損害賠償の請求や訴訟への対応
弁護士対応できる対応できる対応できる
労働組合対応できる団体交渉として対応できる対応範囲外
民間企業対応できる対応範囲外対応範囲外

労働組合の代表者や委任を受けた者は、労働組合法第6条により使用者と交渉する権限を有するとされています。いっぽう弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を業として取り扱うことは弁護士法第72条で禁じられており、民間企業が会社と交渉した場合はこの規定に触れる可能性が指摘されています。自分の事情がどれにあたるかの判断は弁護士の領分です。条文:労働組合法弁護士法(e-Gov法令検索・2026年8月確認)

離職理由の記載は、会社が作成する書類の中身を変えてもらう話です。ハローワークへの申し出は自分でもできますが、在籍中に会社と条件を詰める段階になると、それは交渉になります。伝えるだけのサービスの範囲を超えます。

無料で使える窓口もあります。

依頼先を選ぶなら

会社と話し合う必要があるかどうかで、選べる先が決まります。

すでに辞めていて離職票の争いだけが残っているなら、ハローワークへの申し出で足りることがあります。まだ在籍していて、勧奨を受けながら条件を詰める段階なら、話し合いができる立場の依頼先が必要になります。

退職勧奨を受けている場合の相談先を見てみる

先に決めておくこと

勧奨を受けている段階では、応じるかどうかを急いで決める必要はありません。

ただし応じると決めたなら、退職届の書き方だけは先に固めてください。そこが後から効いてきます。

辞めるまでの手順は辞めたいのに言えないときにまとめています。

よくある質問

退職届を「一身上の都合」で出してしまいました。もう取り返せませんか。

提出した事実は残りますが、離職理由の認定を行うのは公共職業安定所長です。実際のやり取りを示せる資料があれば、ハローワークに申し出て判断を求めることはできます。面談の録音、退職を勧める内容のメールやチャット、日付入りのメモなどを集めてください。

会社から「会社都合にすると助成金が受けられなくなる」と言われました。

それは会社側の事情であって、離職理由をどう記載するかの基準ではありません。実態に沿った記載を求めることは正当です。会社が応じない場合でも、離職票の異議欄に自分の認識を書いたうえでハローワークに申し出る道があります。

離職票にはもう署名してしまいました。

署名後でもハローワークに申し出ることはできます。離職票には離職者本人が記入する異議の欄があり、受給資格の決定の際に事情を聞かれます。署名したことが最終的な結論になるわけではありません。

退職勧奨と解雇はどう違いますか。

退職勧奨は「辞めてほしい」という会社からの働きかけで、応じるかどうかは自分が決めます。解雇は会社が一方的に労働契約を終わらせる意思表示です。労働契約法第16条は、解雇について客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合は無効と定めています。どちらの形をとるかで会社側の負担が変わるため、勧奨という形が選ばれることがあります。

勧奨を断り続けたらどうなりますか。

勧奨に応じる義務はありません。ただし断ったあとに待遇や配置が変わるといったことが起きる場合があります。断る意思を伝えた日付と、その後に起きたことを記録しておいてください。執拗に繰り返される場合は、その事実自体が相談の材料になります。

弁護士に頼む場合の料金を確認できます

公式サイトで料金と対応範囲を見る