退職金の返還を請求された・払われない|規程が出発点、時効は5年

カテゴリ: 今すぐ払うお金がない

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目次
  1. 支払いを義務づける条文はない
  2. 規程があるかどうかが最初の分岐
  3. 就業規則がない会社もある
  4. 規程のどこを読むか
  5. 自己都合で減る場合
  6. 見せてもらえない場合
  7. 支払われない場合
  8. まず請求する
  9. 書く内容
  10. 支払いの時期が規程にある場合
  11. 応じない場合
  12. 返還を請求された場合
  13. 根拠になる条項があるか
  14. 定めがない場合
  15. 懲戒を理由とする場合
  16. 給料から引かれそうな場合
  17. 競業避止を理由にされた場合
  18. 条項の有無
  19. 範囲と期間
  20. 確認すること
  21. 時効は5年
  22. 年数が違う
  23. 起算点
  24. 相談する順番
  25. 1. 規程を確保する
  26. 2. 計算する
  27. 3. 相談先を選ぶ
  28. 誰に頼めるか
  29. 依頼先を選ぶなら
  30. 先に読むのは退職金規程

退職金をめぐる相談は、方向が2つあります。支払われない場合と、支払われたあとに返せと言われる場合です。

どちらも出発点は同じで、規程に何が書かれているかを見ます。法律が金額を決めているわけではありません。

条文が定めているのはどこまでか

89条が求めていること 「定めをする場合においては」記載する つまり支払い自体は義務ではない 規程があるかどうかが最初の分岐 規程があれば、その内容で決まる 範囲・計算・支払いの時期が書かれている 時効は退職手当だけ5年 ほかの賃金の3年と混同しない
まず規程の有無、次に条項の中身を見ます。

支払いを義務づける条文はない

労働基準法第89条は、就業規則に記載する事項を並べた条文です。退職手当については次のように書かれています。

三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

——労働基準法 第89条(e-Gov 法令検索)

「定めをする場合においては」と書かれています。支払うこと自体を求めた条文ではありません。

規程があるかどうかが最初の分岐

定めがあるなら、支給の範囲・計算・支払いの時期はその内容に従います。

定めがないなら、支払われないこともあります。慣行として支払われてきた場合は別の判断になりますが、まずは書面の有無を確認してください。

就業規則がない会社もある

89条の作成義務は、常時10人以上の労働者を使用する事業場が対象です。それより小さい事業場には就業規則自体が無いことがあります。

その場合は、労働契約書や個別の合意が根拠になります。

規程のどこを読むか

条項 何が分かるか
適用される労働者の範囲 自分が対象に入っているか
勤続年数の要件 何年以上で支給されるか
計算の方法 基礎額と支給率
支払いの時期 いつ振り込まれるか
自己都合と会社都合の差 支給率が下がるか
不支給・減額の条項 どんな場合に適用されるか

自己都合で減る場合

自己都合退職の支給率を下げる定めが置かれていることがあります。この場合、離職理由をどう扱われるかで金額が変わります。

離職理由が実態と違う場合の扱いは退職勧奨なのに自己都合にされたにまとめています。

見せてもらえない場合

労働基準法106条は、就業規則を掲示や備え付け、書面の交付といった方法で労働者に周知させなければならないと定めています。

提示を求めた事実と回答は記録してください。

支払われない場合

まず請求する

労働基準法23条は、退職の場合において権利者の請求があったときは7日以内に賃金を支払うと定めています。

黙って待っていても起算しません。日付が残る方法で請求してください。

書く内容

  1. 退職した日
  2. 退職金規程にもとづく請求であること
  3. 振込先の口座
  4. 支払いを求める旨

支払いの時期が規程にある場合

「退職後2か月以内」といった定めがあるなら、その時期までは通常の運用です。過ぎてから請求してください。

応じない場合

給与明細、規程、請求の記録を持って労働基準監督署に相談できます。所在地の一覧から管轄の署を探せます。

返還を請求された場合

支給されたあとに「返せ」と言われるパターンです。

根拠になる条項があるか

規程に返還の定めがあるかを先に確認してください。条項の提示を求めるところから始まります。

定めがない場合

支給済みのものを後から取り戻す根拠が乏しくなります。言われた内容と日付を記録したうえで相談してください。

懲戒を理由とする場合

懲戒解雇に該当するとして不支給や返還を主張されることがあります。

労働契約法15条は、懲戒について、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は権利を濫用したものとして無効とすると定めています。懲戒の当否そのものが争点になる形です。

給料から引かれそうな場合

労働基準法24条は賃金の全額払いを定めています。返還を理由に最後の給料から差し引く形には、この条文の問題が出ます。

天引きの見方は給料から勝手に天引きされたにまとめています。

競業避止を理由にされた場合

同業への転職を理由に、不支給や返還を主張されることがあります。

条項の有無

まず規程や誓約書に競業避止の定めがあるかを確認してください。

範囲と期間

制限する地域、期間、職種の範囲が広すぎる場合、そのまま全部が認められるとは限らないとされています。

代償となる措置が用意されていたかも見られる要素です。

確認すること

  1. 誓約書に署名した時期
  2. 制限される期間と地域
  3. 対象となる業務の範囲
  4. 在職中に手当などの代償があったか

判断が分かれる領域なので、条項の写しを持って弁護士に相談するのが確実です。

時効は5年

労働基準法115条は賃金の請求権の時効を定めています。附則により、当分の間の扱いは次のとおりです。

対象 時効
退職手当の請求権 5年
退職手当以外の賃金の請求権 3年

年数が違う

未払い残業代などと同じ感覚で「3年」と判断すると、請求できるものを取りこぼします。

退職金だけは5年です。数年前に辞めた会社の分でも、期間内であれば請求できる形になります。

起算点

行使することができる時からです。規程に支払いの時期が定められているなら、その時期が基準になります。

相談する順番

1. 規程を確保する

写しがあるかどうかで、話の進み方が変わります。手元にない場合は開示を求めてください。

2. 計算する

規程の計算式に自分の勤続年数と基礎額を当てはめて、いくらになるはずかを出しておきます。

3. 相談先を選ぶ

状況 窓口
規程どおりに支払われない 労働基準監督署
どこに行けばよいか分からない 総合労働相談コーナー
懲戒や競業避止が争点 弁護士
返還請求の書面が届いた 弁護士

総合労働相談コーナーは無料で使えます。

誰に頼めるか

依頼先ごとに、対応できるとされている範囲
依頼先退職の意思を会社に伝える有給・退職日・未払い賃金の話し合い損害賠償の請求や訴訟への対応
弁護士対応できる対応できる対応できる
労働組合対応できる団体交渉として対応できる対応範囲外
民間企業対応できる対応範囲外対応範囲外

労働組合の代表者や委任を受けた者は、労働組合法第6条により使用者と交渉する権限を有するとされています。いっぽう弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を業として取り扱うことは弁護士法第72条で禁じられており、民間企業が会社と交渉した場合はこの規定に触れる可能性が指摘されています。自分の事情がどれにあたるかの判断は弁護士の領分です。条文:労働組合法弁護士法(e-Gov法令検索・2026年8月確認)

規程どおりに支払われる見込みで、争う要素がないなら、辞めること自体は伝えるところまでで進みます。

不支給や返還を主張されている、懲戒や競業避止が争点になっている。この段階で対応できるのは弁護士です。

依頼先を選ぶなら

退職金の条項に不支給の定めがある状態で辞めるなら、申し込み前にその条項を見せて、対応範囲に入るかを確認してください。

主要なサービスの料金を並べた比較はどこに頼むかにまとめています。

不支給や返還を主張されている場合の相談先を見てみる

先に読むのは退職金規程

支払われない場合も、返せと言われた場合も、根拠はそこにあります。

条項を確認したうえで、時効が5年であることを踏まえて動いてください。最後の給料そのものが入らない場合は最後の給料が振り込まれないを読んでください。

よくある質問

退職金を返せと言われました。

返還を求める根拠が退職金規程にあるかを先に確認してください。労働基準法89条は、退職手当の定めをする場合には支給の範囲・計算・支払いの時期を就業規則に記載することを求めています。条項の提示を求めたうえで、その内容が実際の事情に当てはまるかを見ます。

競業避止義務に違反したから不支給と言われました。

規程に不支給の条項があるかがまず出発点になります。あるとしても、制限の範囲や期間が広すぎる場合には、そのまま全部が認められるとは限らないとされています。条項の文面と、実際に何をしたかを持って相談してください。

退職金が支払われません。

規程に支給の定めがあるなら、その内容に従って請求できます。労働基準法23条は、退職の場合に権利者の請求があったときは7日以内に賃金を支払うと定めています。まず請求し、日付が残る形にしてください。

いつまで請求できますか。

労働基準法115条は賃金の請求権の時効を定めており、附則により当分の間は、退職手当が5年、退職手当以外の賃金が3年とされています。年数が違うため、ほかの未払いと同じ感覚で判断しないでください。

就業規則を見たことがありません。

労働基準法106条は、就業規則を掲示や備え付け、書面の交付といった方法で労働者に周知させなければならないと定めています。提示を求められるものです。なお89条の作成義務は常時10人以上の労働者を使用する事業場が対象です。

弁護士に頼む場合の料金を確認できます

公式サイトで料金と対応範囲を見る