妊娠で辞めるとき、出産手当金は退職日で決まる|条件は2つ

カテゴリ: 今すぐ払うお金がない

本ページはプロモーション(広告)を含みます。

目次
  1. 条文を2つ並べる
  2. 対象になる期間
  3. 退職後も続く条件
  4. 条件1|1年以上の被保険者期間
  5. 数え方
  6. 「引き続き」がかかる
  7. 1年に満たない場合
  8. 転職して1年未満の人
  9. 条件2|喪失した際に支給を受けていること
  10. 「支給を受けている」状態とは
  11. 予定日の43日以上前に辞めると
  12. 退職日に出勤すると
  13. だから退職日と最終出社日を分ける
  14. 退職日を決める順番
  15. 1. 出産予定日を起点にする
  16. 2. 被保険者期間を数える
  17. 3. 退職日を対象期間の中に置く
  18. 4. 退職日を働かない日にする
  19. 5. 保険者に確認する
  20. 任意継続にすれば続くのか
  21. 対象から外れている
  22. 任意継続そのものは別の話
  23. 失業給付との関係
  24. 妊娠・出産では受給期間を延ばせる
  25. 手続きを忘れない
  26. 離職理由も確認する
  27. 退職を求められている場合
  28. 記録を残す
  29. 自分から辞める形にしない
  30. 相談先
  31. 誰に頼めるか
  32. 依頼先を選ぶなら
  33. 先に予定日から42日を引く

体がつらくて続けられない。でも辞めると手当が消えるかもしれない。この2つで動けなくなっている方に向けた記事です。

結論から書くと、退職後も出産手当金が続くかどうかは退職日をいつにするかでほぼ決まります。条件は条文に2つ書かれています。

続くかどうかは2つの条件で決まる

健康保険法104条の要件 条件1 喪失日の前日まで 引き続き1年以上 被保険者であること 条件2 喪失した際に 支給を受けている 状態であること 落とし穴は条件2のほう 退職日が42日前より早いと満たさない 退職日に出勤しても満たさない どちらか欠けると退職後は続かない
1つでも欠けると、退職の翌日から止まります。

条文を2つ並べる

対象になる期間

健康保険法第102条は次のように定めています。

被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前四十二日(多胎妊娠の場合においては、九十八日)から出産の日後五十六日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金を支給する。

——健康保険法 第102条(e-Gov 法令検索)

42日(多胎妊娠は98日)前から、出産の日後56日まで。そのうち労務に服さなかった期間が対象です。

退職後も続く条件

同法第104条は次のように定めています。

被保険者の資格を喪失した日(中略)の前日まで引き続き一年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者(中略)であって、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる。

——健康保険法 第104条(e-Gov 法令検索)

条件が2つ書かれています。

条件1|1年以上の被保険者期間

数え方

資格を喪失した日の前日まで、引き続き1年以上です。

「引き続き」がかかる

途中で抜けている期間があると、通算ではなく引き続きかどうかで見られます。

1年に満たない場合

退職後の継続給付は受けられません。在職のまま産休に入るかどうかを比べる材料になります。

転職して1年未満の人

前の会社での期間は、健康保険の資格が続いていない限り引き継がれません。入社日から数えてください。

条件2|喪失した際に支給を受けていること

ここが落とし穴です。

「支給を受けている」状態とは

102条の期間に入っていて、その日に労務に服していない状態です。つまり次の2つを同時に満たす必要があります。

  1. 退職日が、予定日以前42日(多胎98日)から出産後56日までの間にある
  2. その退職日に働いていない

予定日の43日以上前に辞めると

そもそも支給の対象期間に入っていません。「支給を受けている」状態にならないため、退職後は続きません。

退職日に出勤すると

その日は「労務に服さなかった期間」に当たりません。ここで条件2が崩れます。

だから退職日と最終出社日を分ける

最終出社日を退職日にすると、この形になります。有給を消化して、退職日を休みの日にしておくと避けられます。

有給の逆算は有給を全部使ってから辞めるにまとめています。

退職日を決める順番

1. 出産予定日を起点にする

予定日から42日前(多胎は98日前)を計算してください。ここが対象期間の入口です。

2. 被保険者期間を数える

入社日から退職日の前日まで、1年以上あるかを確認します。足りない場合は、退職日を後ろにずらせば満たせることがあります。

3. 退職日を対象期間の中に置く

42日前より後の日にします。

4. 退職日を働かない日にする

有給か、もともと休みの日にしてください。

退職日の置き方 継続給付
予定日の50日前・最終出社日と同日 期間外。続かない
予定日の30日前・出勤した日 労務に服したため条件2を満たさない
予定日の30日前・有給の日 2つの条件を満たしうる
勤続11か月・予定日の30日前 条件1を満たさない

5. 保険者に確認する

金額と実際の支給の可否は、加入している健康保険の保険者が判断します。上の整理は条文の読み方であって、個別の結論ではありません。

任意継続にすれば続くのか

条文は「任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く」と書いています。

対象から外れている

任意継続に切り替えることで、この継続給付の対象になるわけではありません。

任意継続そのものは別の話

医療費の負担割合など、別の目的で選ぶ余地はあります。期限は資格喪失日から20日以内です。

比べ方は保険証の返却と切り替えにまとめています。

失業給付との関係

妊娠・出産では受給期間を延ばせる

雇用保険法20条1項は、妊娠、出産、育児その他の理由により引き続き30日以上職業に就くことができない場合、申し出れば受給期間に日数を加算できるとしています。上限は4年です。

働ける状態になってから受け取る形にできます。

手続きを忘れない

延長の申し出をしないまま1年が過ぎると、受け取れる日数が減ります。

日数の計算は失業給付はいつから何日もらえるかにまとめています。

離職理由も確認する

体調や妊娠を理由に辞めざるを得なかった場合、離職票の記載で扱いが変わることがあります。

記載が実態と違う場合の対処は退職勧奨なのに自己都合にされたにまとめています。

退職を求められている場合

妊娠を伝えたあとに退職を勧められた、という状況は別の問題です。

記録を残す

言われた日付、相手、内容。書面やメッセージが残っているなら保存してください。

自分から辞める形にしない

「一身上の都合」と書いた書面を出すと、自己都合として扱われる材料になります。

書き分け方は退職理由はどこまで言うかにまとめています。

相談先

総合労働相談コーナーは無料です。都道府県労働局の雇用環境・均等部門でも相談を受け付けています。

誰に頼めるか

依頼先ごとに、対応できるとされている範囲
依頼先退職の意思を会社に伝える有給・退職日・未払い賃金の話し合い損害賠償の請求や訴訟への対応
弁護士対応できる対応できる対応できる
労働組合対応できる団体交渉として対応できる対応範囲外
民間企業対応できる対応範囲外対応範囲外

労働組合の代表者や委任を受けた者は、労働組合法第6条により使用者と交渉する権限を有するとされています。いっぽう弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を業として取り扱うことは弁護士法第72条で禁じられており、民間企業が会社と交渉した場合はこの規定に触れる可能性が指摘されています。自分の事情がどれにあたるかの判断は弁護士の領分です。条文:労働組合法弁護士法(e-Gov法令検索・2026年8月確認)

体調がつらくて自分で伝えられない、というだけなら、辞める意思を届けるところまでで進みます。

退職を勧められている、離職理由で主張が食い違っている。ここは条件を争う場面なので、扱える相手が変わります。

依頼先を選ぶなら

退職日をいつにするかで手当の可否が変わるため、日付を決めてから申し込んでください。順番を逆にすると、条件を満たさない日で確定してしまいます。

主要なサービスの料金を並べた比較はどこに頼むかにまとめています。

退職を勧められている場合の相談先を見てみる

先に予定日から42日を引く

そこが対象期間の入口です。退職日をその後ろに置き、働かない日にする。この2つで条件2が満たせます。

被保険者期間が1年に届いているかも、あわせて数えてください。

よくある質問

産休前に辞めても出産手当金はもらえますか。

健康保険法104条は、資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者で、資格を喪失した際に出産手当金の支給を受けているものは継続して受けられると定めています。条件が2つあり、どちらか欠けると続きません。

「支給を受けている」とはどういう状態ですか。

同法102条は、出産の日(予定日後の出産なら予定日)以前42日、多胎妊娠なら98日から、出産の日後56日までの間で労務に服さなかった期間に支給すると定めています。退職日がこの期間に入っていて、その日に働いていない状態を指します。

退職日に出勤すると影響しますか。

その日は「労務に服さなかった期間」に当たらなくなります。退職日を有給や休みにしておくかどうかで結論が変わるため、最終出社日と退職日を分けて考えてください。

任意継続にすれば続きますか。

条文は「任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く」と書いています。任意継続に切り替えることでこの継続給付の対象になるわけではありません。

勤続1年未満です。

104条は資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者であったことを要件としています。1年に満たない場合、退職後の継続給付は受けられません。在職のまま産休に入るかどうかの判断材料になります。

弁護士に頼む場合の料金を確認できます

公式サイトで料金と対応範囲を見る