目次
- 即時に解除できる条文
- 「即時に」と書かれている
- 使うための前提
- 明示が無かった場合
- 何と何を比べるか
- 労働条件通知書
- 求人票・募集要項
- 実際の勤務
- 並べて書き出す
- 使うときの手順
- 1. 書面をそろえる
- 2. 差を書き出す
- 3. 疑義を書面で伝える
- 4. 解除する場合
- 5. 記録を残す
- 離職理由への影響
- 「著しく」が付く
- 該当すれば区分が変わる
- 離職票を確認する
- 引っ越しをした場合
- 気をつけること
- 働き続けると主張しにくくなる
- 「相違」と「不満」は別
- 求人票が手元にない場合
- 試用期間中の場合
- 相違としてよく挙がる項目
- 賃金
- 休日
- 業務の内容
- 就業の場所
- 契約期間
- 相談先
- 労働基準監督署
- 総合労働相談コーナー
- ハローワーク
- 誰に頼めるか
- 依頼先を選ぶなら
- まず通知書と求人票を並べる
入ってみたら聞いていた話と違った。この場合、辞めるまでの日数の扱いが変わります。
多くの記事が「2週間」とだけ書いていますが、条件が相違している場合には別の条文があります。
条件が違う場合は別の条文が使える
即時に解除できる条文
労働基準法第15条は次のように定めています。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。(第1項)
前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。(第2項)
——労働基準法 第15条(e-Gov 法令検索)
「即時に」と書かれている
民法627条の2週間を待つ必要がない形です。
使うための前提
「明示された労働条件」と「事実」が相違していることです。示せる材料が要ります。
明示が無かった場合
そもそも書面での明示が無いなら、その事実自体が15条1項の問題になります。
労働条件通知書を受け取っていない場合は、交付を求めてください。
何と何を比べるか
労働条件通知書
入社時に交付されるはずの書面です。賃金、労働時間、就業の場所、従事すべき業務、契約期間などが書かれています。
求人票・募集要項
職業安定法第5条の3は、募集に当たり業務の内容や賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。
さらに同条第3項は、契約を締結しようとする場合に明示した内容を変更するときは、その変更する内容を明示しなければならないとしています。
求人票は保存しておいてください。
実際の勤務
明細、シフト表、業務の記録。実際がどうだったかを示す材料です。
並べて書き出す
| 項目 | 明示された内容 | 実際 |
|---|---|---|
| 賃金 | 月給◯◯円 | 月給◯◯円 |
| 労働時間 | 9:00〜18:00 | 実際の始業・終業 |
| 休日 | 完全週休2日 | 実際の休日数 |
| 業務の内容 | ◯◯ | 実際に指示された業務 |
| 就業の場所 | ◯◯ | 実際の勤務地 |
差が出た行が、相違を主張する部分になります。
使うときの手順
1. 書面をそろえる
労働条件通知書、求人票、明細。3つあれば比べられます。
2. 差を書き出す
上の表の形で並べてください。口頭で聞いた話だけでは示しにくくなります。
3. 疑義を書面で伝える
労働条件通知書に記載された◯◯について、実際の勤務内容と相違しております。 事実関係の確認をお願いいたします。
この時点で日付が残ります。
4. 解除する場合
労働基準法15条2項にもとづき契約を解除する旨を、書面で伝えてください。理由の記載が必要になります。
書式の基本は退職届の書き方にまとめています。
5. 記録を残す
送った書面の控えと、会社の回答を保管してください。
離職理由への影響
雇用保険法施行規則第36条第2号は「労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したこと」を挙げています。
「著しく」が付く
15条2項の「相違する場合」と、規則36条2号の「著しく相違した」では書きぶりが違います。給付の区分では程度が見られる形です。
該当すれば区分が変わる
給付制限が置かれず、所定給付日数が雇用保険法23条の表になります。
区分ごとの違いは会社都合になる条件は省令に並んでいるにまとめています。
離職票を確認する
事業主の記載が実態と違う場合は、異議を申し立てられます。求人票と通知書を持参してください。
引っ越しをした場合
15条3項は、明示された労働条件が事実と相違することにより契約を解除した労働者が、就業のために住居を変更していた場合について定めています。
契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費を負担しなければならないとされています。
遠方から移った人は、この規定を確認してください。
気をつけること
働き続けると主張しにくくなる
相違を知りながら長く働いた場合、扱いは判断が分かれます。気づいた時点で記録を残すのが先です。
「相違」と「不満」は別
想像していたのと違った、という話は相違に当たりません。明示された内容との差である必要があります。
求人票が手元にない場合
応募したサイトの履歴、送受信したメール、スクリーンショット。残っていれば材料になります。
試用期間中の場合
扱いは同じです。試用期間中であることを理由に、この条文が使えなくなるわけではありません。
整理は試用期間中に辞めたいにまとめています。
相違としてよく挙がる項目
賃金
固定残業代が含まれていて、実際の基本給が求人票の額より低いという形が多くあります。何時間分が含まれるかを確認してください。
休日
「完全週休2日」と書かれていたのにシフトで埋まる、年間休日数が違う、という差です。シフト表を保存してください。
業務の内容
事務職として採用されたのに現場に出されている、といった形です。指示のやり取りが残っていれば材料になります。
就業の場所
配属先が違う場合です。通知書の就業の場所の欄と比べてください。転勤が絡む場合は転勤を断れずに辞めるにまとめています。
契約期間
期間の定めが無いと聞いていたのに有期だった、という差です。ここは扱い全体が変わるため、真っ先に確認してください。
有期だった場合、辞めるときの根拠が民法628条に変わります。整理は契約社員が期間の途中で辞めたいにまとめています。
相談先
労働基準監督署
明示義務は労働基準法の問題です。通知書が交付されていない場合もここが窓口になります。
総合労働相談コーナー
どこに相談すればよいか分からない段階ならこちらで構いません。無料です。
ハローワーク
求人票の内容と実際が違う場合、求人を出した窓口としても相談を受け付けています。
誰に頼めるか
| 依頼先 | 退職の意思を会社に伝える | 有給・退職日・未払い賃金の話し合い | 損害賠償の請求や訴訟への対応 |
|---|---|---|---|
| 弁護士 | 対応できる | 対応できる | 対応できる |
| 労働組合 | 対応できる | 団体交渉として対応できる | 対応範囲外 |
| 民間企業 | 対応できる | 対応範囲外 | 対応範囲外 |
労働組合の代表者や委任を受けた者は、労働組合法第6条により使用者と交渉する権限を有するとされています。いっぽう弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を業として取り扱うことは弁護士法第72条で禁じられており、民間企業が会社と交渉した場合はこの規定に触れる可能性が指摘されています。自分の事情がどれにあたるかの判断は弁護士の領分です。条文:労働組合法/弁護士法(e-Gov法令検索・2026年8月確認)
15条2項にもとづいて解除する旨を伝えるだけなら、伝えるところまでで進みます。
会社が相違を認めない、賃金の差額を請求する。ここからは扱える相手が変わります。
依頼先を選ぶなら
即時に解除する形を取る場合、その旨を会社に伝えてもらえるかを申し込み前に確認してください。通常の退職とは伝える内容が変わります。
主要なサービスの料金を並べた比較はどこに頼むかにまとめています。
まず通知書と求人票を並べる
差が出た行があれば、そこが主張できる部分です。
材料がそろってから、解除するか通常の退職にするかを決めてください。日程の作り方は退職は何日前に言えばいいのかにまとめています。
よくある質問
求人と条件が違う場合、すぐ辞められますか。
労働基準法15条2項は、明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除することができると定めています。民法627条の2週間を待つ必要がない形です。ただし「相違」があることを示せる材料が要ります。
口頭で聞いた話と違う場合は。
15条1項は、労働契約の締結に際し労働条件を明示しなければならないとしており、賃金や労働時間などは書面などの方法で明示することが求められています。書面が無い場合、その事実自体が問題になります。求人票や募集要項も材料になります。
求人票の内容は約束になりますか。
職業安定法5条の3は、募集に当たり業務の内容や賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。さらに、契約を締結しようとする際に明示した内容を変更する場合は、その変更を明示しなければならないとしています。求人票は保存してください。
失業給付には影響しますか。
雇用保険法施行規則36条2号は「労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したこと」を挙げています。該当するかを判断するのは公共職業安定所長です。
すでに何か月も働いています。
15条2項は期間を区切っていませんが、相違を知りながら働き続けた場合の扱いは判断が分かれます。気づいた時点で書面により疑義を伝えておくと、時期が記録に残ります。
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