パワハラで辞める|条文にある3つの要素と、相談しても不利益にならない根拠

カテゴリ: 揉めてはいない

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目次
  1. 条文にある定義
  2. 要素1|優越的な関係を背景とした言動
  3. 要素2|業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  4. 要素3|就業環境が害される
  5. 3つを満たすか
  6. 相談しても不利益にならない
  7. 相談したこと自体を理由にできない
  8. 事実を述べた場合も含む
  9. 不利益な扱いを受けた場合
  10. 会社には措置の義務がある
  11. 相談窓口があるか
  12. 使いにくい場合
  13. 社外の窓口
  14. 記録の残し方
  15. メモでも材料になる
  16. 保存する場所
  17. 医療機関の記録
  18. 録音について
  19. 種類によって記録の取り方が変わる
  20. 暴言・叱責
  21. 無視・仲間外し
  22. 過大な要求
  23. 過小な要求・仕事を与えない
  24. 私的なことへの立ち入り
  25. 辞めた場合の扱い
  26. 同僚からの言動も入る
  27. 該当すれば区分が変わる
  28. 離職票の記載を確認する
  29. 判断するのは行政
  30. 進め方
  31. 1. 記録を始める
  32. 2. 体調を確認する
  33. 3. 相談先を選ぶ
  34. 4. 辞めるかを決める
  35. 5. 退職日を決める
  36. 誰に頼めるか
  37. 依頼先を選ぶなら
  38. 今日は記録を1行

自分が弱いだけかもしれない。そう思って言い出せないまま体調が落ちていく。よくある状態です。

判断の材料は条文にあります。3つの要素が書かれています。

条文に書かれた3要素

1. 優越的な関係を背景とした言動 上司からとは限らない 2. 業務上必要かつ相当な範囲を超える 指導との線引きはここ 3. 就業環境が害される 働き続けられない状態になっている 相談したことを理由とする不利益な扱いは禁止 条文の第2項に明記されている 当てはめを行うのは相談窓口や弁護士
3つとも満たしているかを、記録に照らして見ます。

条文にある定義

労働施策総合推進法第30条の2第1項は次のように定めています。

事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

——労働施策総合推進法 第30条の2(e-Gov 法令検索)

要素1|優越的な関係を背景とした言動

上司から部下へ、とは限りません。同僚や部下からでも、抵抗や拒絶が難しい関係を背景にしている場合が含まれます。

集団による行為や、業務上必要な知識・経験を持つ人からの行為も、この形になりえます。

要素2|業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

指導との線引きがここです。業務上の必要性があるか、手段や程度が相当かを見ます。

厳しい指摘であっても、業務に必要で相当な範囲であれば当たらない形になります。

要素3|就業環境が害される

働き続けられない状態になっていることです。

3つを満たすか

条文は3つを並べています。当てはめを行うのは相談窓口や弁護士です。このページで当たると判断することはできません。

相談しても不利益にならない

同条第2項は次のように定めています。

事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

——労働施策総合推進法 第30条の2(e-Gov 法令検索)

相談したこと自体を理由にできない

「相談すると立場が悪くなる」という不安に対する、条文上の答えです。

事実を述べた場合も含む

自分のことではなく、同僚の相談に協力して事実を述べた場合も対象です。

不利益な扱いを受けた場合

それ自体が別の問題になります。時期と内容を記録してください。

会社には措置の義務がある

第1項は、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならないと定めています。

相談窓口があるか

就業規則や社内の掲示で確認できます。設置されていない場合、その事実も記録に残ります。

使いにくい場合

窓口が加害者の指揮下にある、といった状況では機能しません。社外の窓口を使ってください。

社外の窓口

総合労働相談コーナーは無料です。都道府県労働局にも相談の窓口があります。

記録の残し方

証拠の有無で進み方が変わります。

記録するもの 書く内容
日時 年月日と時刻
場所 会議室、フロア、オンラインなど
相手 名前と役職
言われた内容 できるだけそのままの言葉で
その場にいた人 名前
自分の状態 体調や睡眠への影響

メモでも材料になる

継続的に記録されていることが重視されます。日をまたいで書き続けてください。

保存する場所

会社の端末やアカウントに置かないでください。退職と同時にアクセスできなくなります。

医療機関の記録

体調を崩している場合、受診の記録が状況を示します。診断書があると手続きも進みます。

録音について

自分が参加している会話を記録すること自体は、一般に問題にならないとされています。相談先に見せる範囲で使ってください。

扱いは会社からの電話に出なければいけないのかにまとめています。

種類によって記録の取り方が変わる

暴言・叱責

言われた言葉をそのまま書き残してください。要約すると、あとで程度が伝わりません。周囲に人がいたかも書きます。

無視・仲間外し

出来事が起きなかったことを記録する形になります。会議に呼ばれなかった日、連絡が回らなかった案件を、日付とともに残してください。

過大な要求

指示された内容と期限、それに必要な時間を並べます。実際にかかった時間の記録があると、量の問題として示せます。

残業時間が絡む場合は残業が多くて辞めた場合の離職理由も読んでください。

過小な要求・仕事を与えない

担当していた業務がいつ外されたか、その後何をしていたかを書きます。業務指示のメールが残っていれば保存します。

私的なことへの立ち入り

聞かれた内容と、断ったあとの扱いの変化を記録してください。

辞めた場合の扱い

雇用保険法施行規則第36条第8号は「事業主又は当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく害されるような言動を受けたこと」を挙げています。

同僚からの言動も入る

条文は「事業主又は当該事業主に雇用される労働者から」と書いています。上司に限られません。

該当すれば区分が変わる

給付制限が置かれず、所定給付日数が雇用保険法23条の表になります。差は最大で3倍以上です。

整理は会社都合になる条件は省令に並んでいるにまとめています。

離職票の記載を確認する

事業主の記載が実態と違う場合、異議を申し立てられます。記録を持参してください。

手順は離職票が届かないにまとめています。

判断するのは行政

公共職業安定所長が認定します。当サイトが該当を決めることはできません。

進め方

1. 記録を始める

今日から書いてください。過去の分も思い出せる範囲で書き出します。

2. 体調を確認する

眠れない、食べられないという状態が続いているなら、受診を先にしてください。

明日から行けない状態なら明日から会社に行きたくないを読んでください。

3. 相談先を選ぶ

社内の窓口が使えるかを判断します。使えないなら社外です。

4. 辞めるかを決める

記録がそろっていれば、辞めた後の手続きでも使えます。急いで決める必要はありません。

5. 退職日を決める

決めたら日付から逆算します。日程の作り方は退職は何日前に言えばいいのかにまとめています。

誰に頼めるか

依頼先ごとに、対応できるとされている範囲
依頼先退職の意思を会社に伝える有給・退職日・未払い賃金の話し合い損害賠償の請求や訴訟への対応
弁護士対応できる対応できる対応できる
労働組合対応できる団体交渉として対応できる対応範囲外
民間企業対応できる対応範囲外対応範囲外

労働組合の代表者や委任を受けた者は、労働組合法第6条により使用者と交渉する権限を有するとされています。いっぽう弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を業として取り扱うことは弁護士法第72条で禁じられており、民間企業が会社と交渉した場合はこの規定に触れる可能性が指摘されています。自分の事情がどれにあたるかの判断は弁護士の領分です。条文:労働組合法弁護士法(e-Gov法令検索・2026年8月確認)

会社と争わずに辞めるだけなら、伝えるところまでで進みます。加害者と顔を合わせずに終える形が取れます。

慰謝料を請求する、離職理由の記載を争う。ここからは扱える相手が変わります。損害賠償の請求は弁護士の範囲です。

依頼先を選ぶなら

争うかどうかを先に決めてください。争わないなら範囲を広げる必要はありません。争う可能性があるなら、扱える立場の相手を選ぶことになります。

主要なサービスの料金を並べた比較はどこに頼むかにまとめています。

慰謝料の請求まで考えている場合の相談先を見てみる

今日は記録を1行

自分が弱いのかどうかは、条文の3要素に照らせば判断の材料が出ます。

まず日時と言われた内容を書き残してください。そこから先の選択肢が広がります。

よくある質問

これはパワハラに当たりますか。

労働施策総合推進法30条の2は3つの要素を挙げています。優越的な関係を背景とした言動であること、業務上必要かつ相当な範囲を超えていること、就業環境が害されることです。個別の当てはめは相談窓口や弁護士が行います。

社内に相談すると立場が悪くなりませんか。

同条2項は、相談を行ったことや、相談への対応に協力して事実を述べたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。不利益な扱いを受けた場合は、それ自体が問題になります。

会社は何かする義務がありますか。

同条1項は、事業主に対し、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならないと定めています。相談窓口があるかを確認してください。

失業給付に影響しますか。

雇用保険法施行規則36条8号は「事業主又は当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく害されるような言動を受けたこと」を挙げています。上司からだけでなく同僚からの言動も条文の対象です。

証拠がありません。

日時と内容を書いたメモでも材料になります。継続的に記録されていることが重視されます。メール、チャット、録音、第三者の証言も使われます。集まった段階で相談してください。

弁護士に頼む場合の料金を確認できます

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